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北極海が話題になっている

北極圏とは北極点を中心とした高緯度地域のことで,夏に白夜になる北緯6633分以北の地域を指すことが多い。北極海のほか,北米大陸北部,ユーラシア大陸北部,グリーンランドおよびアイスランドやフェロー諸島などの島が,概ね北極域と呼ばれる地域といえる。ツンドラ気候区,永久凍土地帯,および最も暖かい月の平均気温が10℃を超えない地域などがこれに含まれる。また研究分野では,ベーリング海やオホーツク海もこのArcticの対象としてとらえられることが多い。
このような北極圏は,全世界の陸地のおよそ1/6の面積,30百万km224のタイムゾーンが存在する広大な領域であるとともに,30以上の民族,約4百万人が居住する。また多くの未開発の天然資源を擁している。

 地球規模の気候変動は,極域において顕著な環境変化として顕在化しつつあると言われる。科学的予測の精度には依然として課題と議論の余地が指摘されている。しかし北極域では近年,夏期における海氷勢力が減退する傾向が続いており,ついには北極海航路海域から海氷が消滅する現象が確認されている。これは,1990年代には見られなかった現象である。

 こうして海氷勢力の減退が顕在化するとともに,北極域の海洋底に埋蔵されていると考えられている各種の天然資源開発,および北極海を通ってアジアとヨーロッパを結ぶ北極海航路(NSRおよび北西航路)による海上輸送に関し,注目が集まってきている。北極域を国土や領海に有する関係国は,以前より北極評議会を発足させ,閣僚会議を隔年で開催してきた。そこでは,北極域における持続可能な開発と稀少な自然環境の保全を主題に,相互の調整,規則づくりに向けて技術的・科学的・政策的な活動と議論が行われてきた。そこに,近年の国際的な天然資源争奪戦,国連海洋法条約における大陸棚の拡張申請・確定への協議の進展などが契機となって,北極圏以外の地域にある国家が北極評議会へのオブザーバー参加を求めるようになった。また北極海航路に関して主要な船級協会も活発な活動を展開するようになった。

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海辺の資源を活かした地域活性化

地域興しの光と影・・・とでも言おうか

ず いぶん前の話であるが,平成16年に日本政策投資銀行が『海辺の資源を活かした地域活性化の取り組み-全国8地域の事例紹介とそのポイント』という調査レポートを公開した.同レポートでは,戦後復興から高度成長期を過ぎ,大都市圏への一極集中の是正と国土の均衡ある発展を目指した全国総合開発計画の成果は,1980年代に入ってのち,様相が変わってきたことを指摘する.すなわち,経済・産業の主役・牽引車は,重厚・長大な分野からITサー ビスや多様な金融サービスなどの分野に移行する傾向を強めるとともに,東京圏などの大都市圏への人口,産業・経済中枢機能などの集中が進み,他方,地方圏 において高齢化の加速,若年層の都市部への流出が続いており,地域社会の活力低下が続いていたのである.(この傾向は現在でも変わっておらず,問題は深化 している.)そこで,地域が独自にそれぞれの魅力と個性を見つめなおし,それを基にした活性化に取り組み,雇用・所得・地域愛と誇りの醸成をはかり,自立 した地域を次世代に継承すべし,と指摘する.そして,全国8地域において成果をあげた取り組み事例を紹介している.このレポートで取り上げられた8地域のなかから次の4地域について,近況を探ってみた.
  • 北九州市門司区:歴史的建造物を活用したみなとまちの復興
  • 愛媛県双海町:海に沈む美しい夕日を基にしたまちづくり
  • 青森県市浦村:タラソテラピーによる住民の健康づくり
  • 高知県室戸市:海洋深層水を基にした地域産業の創出

①北九州市門司区:
 北九州門司港区への観光入込客数は,H15年に向かって増加するが,同年をピークにその後H14年水準に微減して,H19年時点までの間は頭打ちとなっている。一方,同じ北九州市のその他の観光スポットは,H9~10年あたりを境に軒並み減少傾向が続いている。これからすると,門司港区におけるまちの復興策が奏功し,最近まで安定した観光入込が続いていると考えられる。そもそも門司港区は歴史的な資産を多く保有しており,その手持ちストックを上手に活用できた事例なのだろうと思う。


  愛媛県双海町:

 町役場職員であった若松氏の情熱と努力によって地元の人が集まり,行動し,夕日をコンセプトにしたイベントが拡大,複合公園施設の整備につながる.さらに,若者をターゲットにした経営コンセプトと魅力ある施設・環境整備・イベントなどを展開し,第3セクターの経営は黒字安定,年間55万人の入込客を得るに至る.見事な成功事例であると同時に,いかにまちおこしが困難なものであるか,また,地域住民の意識と参加,活動を担う人材づくりなど,地元がプロジェクトに入ってどれだけ活発に活動・継続できるか,が成功の秘訣であることを明示している事例であると思う.同時に,拠点さえつくれば済むといった施設整備の限界を浮き彫りにする事例とも言える.

③    青森県市浦村:
 タラソテラピー施設 が平成12年11月にオープン,開業当時は地域包括ケアシステムの推進と相まって,以降の国保医療費が減少しているとの報告があった .高齢化が進む地域の健康増進効果を定量評価するのは難しく,その後に市町村合併によって五所川原市となり,客観的な評価はさらに難しい.年間1万人程度の利用予測で,H18・19年度の平均収支は3300万円の赤字?.しかし,地域住民の生活・福祉向上に寄与し,医療費の削減に貢献しているらしい点で評価に値するのだろうと思う.しかし,赤字分を自治体が負担できる限度と,施設による便益のバランスが,この先も安泰とは限らないであろう。
 一方,同時期に東北地方では他にも2つのタラソ施設が計画されていた.このうち陸前高田市は廃案,宮古市はH15年開業するも経営は厳しく,H19年度決算で1.4億円の累積赤字を抱え,タラソ利用者は開業2年目のH16年度をピークに落ち込みが続く.市浦のタラソは,集客を狙った宮古や高田とは目指す方向が違ったところが幸いしたとも考えられる.
 施設をつくって人を呼ぶという構図の限界,地域の福祉・環境向上で身の丈に合う取り組みが必要ということではないか.

④ 高知県室戸市:
関連商品の売り上げは年間100億円を超えると言われ,「室戸海洋深層水」のブランドは広く定着してきた.しかし,国の「地方の元気再生事業」に採択されている「次世代の湯治場」構想の中核施設でもある,海洋深層水を使った健康増進施設「バーデハウス室戸」は,H18年の開業以来利用者が伸び悩む.さらに,指定管理者の親会社が今年2月に経営破たんしたため,この6月に指定管理者が清算・撤退した.今後は,室戸市が運営会社を設立して運営を引き継ぐとのことである."なにかつくって地方に人を集める"という手法が,いかに室戸海洋深層水であろうとも,簡単にはいかなかったということであろうか.

公共性のある施設をつくり,運営するのであれば,お金の収支だけで白黒つけるのは間違いと思う.しかし,ならば,どうであれば成功なのか,便益あるいは効果が出ているのか,施設やプロジェクトを評価する視点・基準・確固とした達成目標を明示できないといけないのであろう.社会基盤整備のプロセスにおいて,事業者側ではアカウンタビリティーの重要性が頻繁に指摘される.しかし,住民の側においても,もっと自発的に社会基盤整備の場に参加して意見を示すこと,活動すること,自分の住む地域のことを考えることが必要であろう.昨年訪れた英国(漁港施設の整備状況を調査した)で痛感したのは,新しい施設だけでなく,ちょっとした道路や公園の整備・補修などの小さな案件でも,地域の住民の公聴会が頻繁に開催されていること,地域住民が強く望まないと,なかなか基盤整備の予算が回ってこないことなどである.

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EUの海洋エネルギー開発

 欧州委員会では,化石燃料の代替エネルギー源として,再生可能エネルギーの供給比率を向上させ,温室効果ガスの排出削減とともに,化石燃料の輸入比率を下げることをエネルギー戦略の柱としている。その具体的な目標として,2020年における再生可能エネルギー比率を20%まで増大させることを掲げ,組織的にエネルギー技術の開発を進めるために,戦略的エネルギー技術計画(the Strategic Energy Technology Plan)を策定した。この施策では,プロジェクトの共同体制化,欧州における当該分野の技術ポテンシャルの効率的な適用,および欧州市場に対する事業・活動機会の解放などを推進するものとなっている。特にこの計画では,地域レベルでの活動を含んだ技術開発プロジェクトを奨励するものとなっている 。そして2008年には,欧州レベル,国家レベルおよび企業レベルでの技術研究・開発活動を強化すると同時に,各国のエネルギー研究機関が欧州規模で協力するためにEuropean Energy Research Alliance(EERA)が設立された。
2006年12月,欧州委員会によるthe Seventh Framework Programme (FP7)の募集が開始された。この中で,海洋エネルギーでは次の3つの分野が取り上げられた。
  •      海洋エネルギー発電を行う新規装置および方式コンセプト
  •      海洋エネルギー戦略
  •      海洋エネルギーに関する準規範的な研究
     
これに続いて2番目の募集が2008年に行われた(FP7-ENERGY-2009-1)。この募集では,
  •      大水深沖合海域での風力・海洋エネルギー複合発電プラットフォーム分野の研究・開発
  •      沖合再生可能エネルギー変換プラットフォームの研究や開発プロジェクトの設立,調整
をテーマとして実施された。さらに関連する欧州委員会プロジェクトが2009年後期から開始される予定である。FP7のうち海洋エネルギー分野においては,CORESとEQUIMAR,2つのプロジェクトが採択され,2008年より始まっている。このほか,6つの実証試験プロジェクトが開始されようとしているところである。また2008年現在で,欧州委員会のthe Sixth Framework Programme (FP6)による補助・支援を受けて,4つの海洋エネルギープロジェクトが進行中となっている。

一方我が国では,
「新エネルギー利用促進特別措置法」において,海洋エネルギーは再生可能エネルギーとして認識されていない。このため,新エネルギー資源の利用促進に関する施策においても,海洋エネルギーに対する政策支援は消極的である。欧州の動きとは対照的である。欧州の海洋エネルギー開発政策と動向をまとめてみた(http://njpc.building.officelive.com/Report.aspx).

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アセットマネジメントからインフラ会計へ

 自治体においてインフラストラク チャーに関するアセットマネジメントが導入され,機能するようになったとする.そこでは,ライフサイクルコストを低減・最適化し,効率的にインフラの機能 を維持するための維持補修計画が定められ,施設の維持管理・補修のための予算が割り当てられる.ただし維持補修予算は,関連する公共事業政策や社会・経済 政策の動向に影響を受け,安定的に確保することが困難であることが多い.限られた財源の使途の優先順位は,教育なのか,環境なのか,医療なのか,社会基盤 分野なのかなど,さらには社会基盤のなかでも道路か,港湾か,河川か,などといった優先度や配分の課題が浮上する.特にインフラストラクチャーの場合,機能水準の低下がゆっくりと推移・発現する特徴があるため,維持補修予算は先送りされてしまう傾向がある.このような環境では,アセットマネジメントシステ ムは,今度はどの施設を補修するべきか,優先順位の決定に関する問題に直面することになる.その出口は,

  • アカウンタビリティを確保し,財源を獲得する.
  •  限られた財源枠内における最適解を見つける.優先度,影響の評価・予測,,,,

などであろうか.

  このような財政的な制約のもとで,必要なインフラ整備と維持管理によるサービス水準の確保を図るためには,アセットマネジメントを実行・継続させるととも に,資源・財源を効率的に配分し,国民へのアカウンタビリティ・情報提供機能を確保し,必要な財源を調達する総合的なアプローチが必要になる.この問題に 関して近年,インフラ整備および管理の分野に企業会計の理論と手法を適用しようとする研究が進展してきた.このようなアプローチのことをインフラ会計システムと呼ぶようになってきた.

  一般に企業では,保有する資産の価値を貸借対照表に計上し,減価償却費を通じて資産状況を開示するとともに,損益の発生と資産の状態を管理している.そこ では,貸借による勘定体系を通じて事業活動を統一的に整理・管理できると同時に,検証するための重要な情報を提供している.すなわち,事業活動の成果と状 態を説明する基本的な情報・ツールとなっているのである.このような会計情報機能が,インフラ資産のストック(機能提供能力)とフローの管理およびそのア カウンタビリティにおいても有用であることが明らかになってきたのである.

     う~ん,でもすぐに導入・・・なんてわけにはいかないようだ

 

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アセットマネジメント講演から

 少し前に, 北海道工業大学の笠原先生による社会基盤施設のアセットマネジメントに関する講演を聴いた(というか,そもそも主催者の一人でもあったのだが)。先生の専門は道路の舗装分野であるが,そもそも社会基盤施設の維持管理にアセットマネジメント手法が導入されたのは,道路分野からであり,インターネットで検索すると, アセットマネジメントに関する先生の研究・講演資料が入手できる.今回の講演では,アメリカにおいてアセットマネジメントが,道路の維持・管理に導入され た歴史的経緯にはじまり,手法の概要についての説明が行われた.そして講演のまとめにおいて,重要なコメントが述べられた.それをもとに私見を加え,かいつまんで以下に記すと,

  • 近い将来,社会基盤整備費用のうち,維持・補修費用が新規建設費用を追い抜く.新しく作るだけで,あとは地方自治体に維持管理を委ねる現行のシステムにメスを入れることが必要.
  • アセットマネジメントのアウトプットはライフサイクルコストであり,これを意思決定のツールとして用いるのであるから,経済性を分析評価する際には,細かな数字を追いかけても無益である.
    当該マネジメント手法を,維持管理政策の意思決定に使うのであれば,大きな方から2桁まで程度の精度があれば良い.(これは先生の主張)
  • データベースシステムをつくることがアセットマネジメントではない.適用する目的に応じてシステムとデータの精度を適切に与えることが重要.複雑で大掛かりなデータベースやシステムを目的にするのではなく,まずシステムを構築して運用しながら,漸次サブシステムを補強し,全体の精度を徐々に上げて いくことが必要.
  • 道路・橋梁の荒廃が顕在化した米国のとった政策:時限立法によってガソリン税率を引き上げ,道路投資を拡大,アセットマネジメント適用を条件に橋梁の補修への補助金を拡大し,欠陥橋梁を減少させた.
    そこでは社会資本投資に関し,予測される費用と便益のシステマチックな分析,効率的なマネジメント,民間の参入,州や地方自治体におけるより有効なプログラムの導入をはかることが法令にて規定されたという.

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