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アセットマネジメント講演から
Posted on Monday, Sep 14, 2009 10:10
少し前に, 北海道工業大学の笠原先生による社会基盤施設のアセットマネジメントに関する講演を聴いた(というか,そもそも主催者の一人でもあったのだが)。先生の専門は道路の舗装分野であるが,そもそも社会基盤施設の維持管理にアセットマネジメント手法が導入されたのは,道路分野からであり,インターネットで検索すると, アセットマネジメントに関する先生の研究・講演資料が入手できる.今回の講演では,アメリカにおいてアセットマネジメントが,道路の維持・管理に導入され た歴史的経緯にはじまり,手法の概要についての説明が行われた.そして講演のまとめにおいて,重要なコメントが述べられた.それをもとに私見を加え,かいつまんで以下に記すと,
- 近い将来,社会基盤整備費用のうち,維持・補修費用が新規建設費用を追い抜く.新しく作るだけで,あとは地方自治体に維持管理を委ねる現行のシステムにメスを入れることが必要.
- アセットマネジメントのアウトプットはライフサイクルコストであり,これを意思決定のツールとして用いるのであるから,経済性を分析評価する際には,細かな数字を追いかけても無益である.
当該マネジメント手法を,維持管理政策の意思決定に使うのであれば,大きな方から2桁まで程度の精度があれば良い.(これは先生の主張) - データベースシステムをつくることがアセットマネジメントではない.適用する目的に応じてシステムとデータの精度を適切に与えることが重要.複雑で大掛かりなデータベースやシステムを目的にするのではなく,まずシステムを構築して運用しながら,漸次サブシステムを補強し,全体の精度を徐々に上げて いくことが必要.
- 道路・橋梁の荒廃が顕在化した米国のとった政策:時限立法によってガソリン税率を引き上げ,道路投資を拡大,アセットマネジメント適用を条件に橋梁の補修への補助金を拡大し,欠陥橋梁を減少させた.
そこでは社会資本投資に関し,予測される費用と便益のシステマチックな分析,効率的なマネジメント,民間の参入,州や地方自治体におけるより有効なプログラムの導入をはかることが法令にて規定されたという.
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