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海辺の資源を活かした地域活性化
Posted on Tuesday, Sep 15, 2009 14:45
地域興しの光と影・・・とでも言おうか
ず いぶん前の話であるが,平成16年に日本政策投資銀行が『海辺の資源を活かした地域活性化の取り組み-全国8地域の事例紹介とそのポイント』という調査レポートを公開した.同レポートでは,戦後復興から高度成長期を過ぎ,大都市圏への一極集中の是正と国土の均衡ある発展を目指した全国総合開発計画の成果は,1980年代に入ってのち,様相が変わってきたことを指摘する.すなわち,経済・産業の主役・牽引車は,重厚・長大な分野からITサー ビスや多様な金融サービスなどの分野に移行する傾向を強めるとともに,東京圏などの大都市圏への人口,産業・経済中枢機能などの集中が進み,他方,地方圏 において高齢化の加速,若年層の都市部への流出が続いており,地域社会の活力低下が続いていたのである.(この傾向は現在でも変わっておらず,問題は深化 している.)そこで,地域が独自にそれぞれの魅力と個性を見つめなおし,それを基にした活性化に取り組み,雇用・所得・地域愛と誇りの醸成をはかり,自立 した地域を次世代に継承すべし,と指摘する.そして,全国8地域において成果をあげた取り組み事例を紹介している.このレポートで取り上げられた8地域のなかから次の4地域について,近況を探ってみた.
③ 青森県市浦村:
タラソテラピー施設 が平成12年11月にオープン,開業当時は地域包括ケアシステムの推進と相まって,以降の国保医療費が減少しているとの報告があった .高齢化が進む地域の健康増進効果を定量評価するのは難しく,その後に市町村合併によって五所川原市となり,客観的な評価はさらに難しい.年間1万人程度の利用予測で,H18・19年度の平均収支は3300万円の赤字?.しかし,地域住民の生活・福祉向上に寄与し,医療費の削減に貢献しているらしい点で評価に値するのだろうと思う.しかし,赤字分を自治体が負担できる限度と,施設による便益のバランスが,この先も安泰とは限らないであろう。
一方,同時期に東北地方では他にも2つのタラソ施設が計画されていた.このうち陸前高田市は廃案,宮古市はH15年開業するも経営は厳しく,H19年度決算で1.4億円の累積赤字を抱え,タラソ利用者は開業2年目のH16年度をピークに落ち込みが続く.市浦のタラソは,集客を狙った宮古や高田とは目指す方向が違ったところが幸いしたとも考えられる.
施設をつくって人を呼ぶという構図の限界,地域の福祉・環境向上で身の丈に合う取り組みが必要ということではないか.
④ 高知県室戸市:
関連商品の売り上げは年間100億円を超えると言われ,「室戸海洋深層水」のブランドは広く定着してきた.しかし,国の「地方の元気再生事業」に採択されている「次世代の湯治場」構想の中核施設でもある,海洋深層水を使った健康増進施設「バーデハウス室戸」は,H18年の開業以来利用者が伸び悩む.さらに,指定管理者の親会社が今年2月に経営破たんしたため,この6月に指定管理者が清算・撤退した.今後は,室戸市が運営会社を設立して運営を引き継ぐとのことである."なにかつくって地方に人を集める"という手法が,いかに室戸海洋深層水であろうとも,簡単にはいかなかったということであろうか.
公共性のある施設をつくり,運営するのであれば,お金の収支だけで白黒つけるのは間違いと思う.しかし,ならば,どうであれば成功なのか,便益あるいは効果が出ているのか,施設やプロジェクトを評価する視点・基準・確固とした達成目標を明示できないといけないのであろう.社会基盤整備のプロセスにおいて,事業者側ではアカウンタビリティーの重要性が頻繁に指摘される.しかし,住民の側においても,もっと自発的に社会基盤整備の場に参加して意見を示すこと,活動すること,自分の住む地域のことを考えることが必要であろう.昨年訪れた英国(漁港施設の整備状況を調査した)で痛感したのは,新しい施設だけでなく,ちょっとした道路や公園の整備・補修などの小さな案件でも,地域の住民の公聴会が頻繁に開催されていること,地域住民が強く望まないと,なかなか基盤整備の予算が回ってこないことなどである.
ず いぶん前の話であるが,平成16年に日本政策投資銀行が『海辺の資源を活かした地域活性化の取り組み-全国8地域の事例紹介とそのポイント』という調査レポートを公開した.同レポートでは,戦後復興から高度成長期を過ぎ,大都市圏への一極集中の是正と国土の均衡ある発展を目指した全国総合開発計画の成果は,1980年代に入ってのち,様相が変わってきたことを指摘する.すなわち,経済・産業の主役・牽引車は,重厚・長大な分野からITサー ビスや多様な金融サービスなどの分野に移行する傾向を強めるとともに,東京圏などの大都市圏への人口,産業・経済中枢機能などの集中が進み,他方,地方圏 において高齢化の加速,若年層の都市部への流出が続いており,地域社会の活力低下が続いていたのである.(この傾向は現在でも変わっておらず,問題は深化 している.)そこで,地域が独自にそれぞれの魅力と個性を見つめなおし,それを基にした活性化に取り組み,雇用・所得・地域愛と誇りの醸成をはかり,自立 した地域を次世代に継承すべし,と指摘する.そして,全国8地域において成果をあげた取り組み事例を紹介している.このレポートで取り上げられた8地域のなかから次の4地域について,近況を探ってみた.
- 北九州市門司区:歴史的建造物を活用したみなとまちの復興
- 愛媛県双海町:海に沈む美しい夕日を基にしたまちづくり
- 青森県市浦村:タラソテラピーによる住民の健康づくり
- 高知県室戸市:海洋深層水を基にした地域産業の創出
①北九州市門司区:
北九州門司港区への観光入込客数は,H15年に向かって増加するが,同年をピークにその後H14年水準に微減して,H19年時点までの間は頭打ちとなっている。一方,同じ北九州市のその他の観光スポットは,H9~10年あたりを境に軒並み減少傾向が続いている。これからすると,門司港区におけるまちの復興策が奏功し,最近まで安定した観光入込が続いていると考えられる。そもそも門司港区は歴史的な資産を多く保有しており,その手持ちストックを上手に活用できた事例なのだろうと思う。
② 愛媛県双海町:
③ 青森県市浦村:
タラソテラピー施設 が平成12年11月にオープン,開業当時は地域包括ケアシステムの推進と相まって,以降の国保医療費が減少しているとの報告があった .高齢化が進む地域の健康増進効果を定量評価するのは難しく,その後に市町村合併によって五所川原市となり,客観的な評価はさらに難しい.年間1万人程度の利用予測で,H18・19年度の平均収支は3300万円の赤字?.しかし,地域住民の生活・福祉向上に寄与し,医療費の削減に貢献しているらしい点で評価に値するのだろうと思う.しかし,赤字分を自治体が負担できる限度と,施設による便益のバランスが,この先も安泰とは限らないであろう。
一方,同時期に東北地方では他にも2つのタラソ施設が計画されていた.このうち陸前高田市は廃案,宮古市はH15年開業するも経営は厳しく,H19年度決算で1.4億円の累積赤字を抱え,タラソ利用者は開業2年目のH16年度をピークに落ち込みが続く.市浦のタラソは,集客を狙った宮古や高田とは目指す方向が違ったところが幸いしたとも考えられる.
施設をつくって人を呼ぶという構図の限界,地域の福祉・環境向上で身の丈に合う取り組みが必要ということではないか.
④ 高知県室戸市:
関連商品の売り上げは年間100億円を超えると言われ,「室戸海洋深層水」のブランドは広く定着してきた.しかし,国の「地方の元気再生事業」に採択されている「次世代の湯治場」構想の中核施設でもある,海洋深層水を使った健康増進施設「バーデハウス室戸」は,H18年の開業以来利用者が伸び悩む.さらに,指定管理者の親会社が今年2月に経営破たんしたため,この6月に指定管理者が清算・撤退した.今後は,室戸市が運営会社を設立して運営を引き継ぐとのことである."なにかつくって地方に人を集める"という手法が,いかに室戸海洋深層水であろうとも,簡単にはいかなかったということであろうか.
公共性のある施設をつくり,運営するのであれば,お金の収支だけで白黒つけるのは間違いと思う.しかし,ならば,どうであれば成功なのか,便益あるいは効果が出ているのか,施設やプロジェクトを評価する視点・基準・確固とした達成目標を明示できないといけないのであろう.社会基盤整備のプロセスにおいて,事業者側ではアカウンタビリティーの重要性が頻繁に指摘される.しかし,住民の側においても,もっと自発的に社会基盤整備の場に参加して意見を示すこと,活動すること,自分の住む地域のことを考えることが必要であろう.昨年訪れた英国(漁港施設の整備状況を調査した)で痛感したのは,新しい施設だけでなく,ちょっとした道路や公園の整備・補修などの小さな案件でも,地域の住民の公聴会が頻繁に開催されていること,地域住民が強く望まないと,なかなか基盤整備の予算が回ってこないことなどである.
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