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光易先生の“海の波を見る“;岩波科学ライブラリーから

 書評などと掲げるのはなんともおこがましいが,本の紹介なら許されるであろう。出張先の書店でふと目に入った小さな本,“海の波を見る”とある。著者を見てびっくり,あのブレットシュナイダー(Bretschneider)・光易型周波数スペクトルや,光易型方向分布関数の,あの“光易 恒”先生である。おお,小職は本と論文でしか知らないが,学生時代から頭にインプットされ,決して忘れることのないご尊名である。早速購入したのが今年の春。
本書は,氏の長い研究生活のなかで同僚の方々とともに撮りためてきた波の写真をモチーフに,波の誕生から消滅までの一連のプロセスを平易に解説しながら,海の波がみせる様々な表情や珍しい現象を紹介するとともに,波の研究生活におけるエピソードなどをちりばめたものである。概要はざっと次のようなものとなっている。
  • 風が吹き出して水面に生まれるさざ波(誕生)
  • 風をうけて発達する青年期の波
  • 青年期を経てかなり大きくなった後もさらに発達する壮年期の波
  • 外洋でかなりの程度まで発達し,種々のダイナミックな様相をみせる成熟した浪
  • 風の減退した海域にはいって衰退する波
  • 沿岸に到達,砕波して消滅する波
  • 不思議な波,美しい波などの風景
  • 波の観測や研究のエピソード
 海の波は自分の仕事の大事な対象のひとつでもあるのだが,実際この仕事を選んだのは,海の波ならずいぶん長い時間見続けても見あきない,,,そもそも波を見るのが好きだったからでもある。以前,欧州の本屋で見つけた写真集で,とても欲しかったのだが値段が高いのと大きすぎて荷物になるので,あきらめたものがある。灯台に大波がぶつかるところばかりを集めたものであった。また欧州に行くと,大波の海を行く帆船の油絵をよく見る。あれもひとつ欲しいと思っている。そういう小職には丁度よい本である。本書の写真の中には,最近研究が進んできたフリーク・ウェーブかと思われる珍しいものもある。が,肩ひじ張らず,波好きが気軽に本を取って,パラパラめくりながら波の写真を眺める,というような本,,,,,かな。
 丁度100ページ程度で,見開きの左ページに写真,右ページに文章という構成になっている。初版は2007年4月で,購入したのは第2版であった。\1,500也。
 
岩波科学ライブラリー 130,ISBN978-4-00-007470-4C0340
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