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東北地方太平洋沖地震の概要をダイジェストした

■地震の概要[1]:
発生日時                          :3月11日14時46分
モーメントマグニチュード      :9.0(暫定値)
場所および深さ                  :牡鹿半島の東南東約130km付近,深さ約24km
発震機構                          :西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型
断層の大きさ                     :長さ約450km、幅約200km
断層のすべり量                 :最大20~30m程度
主たる破壊の継続時間       :3分程度(大きな破壊は3回)

■特徴等         :
断層の破壊は宮城県沖から始まり,岩手県沖の方向,福島県・茨城県沖の方向に伝播.大きな断層すべりは海溝側(震源断層の浅い側)で発生.
 
 外国の地震観測データを用いた,本震による震源域の破壊過程に関する検討より,3つの巨大な破壊が連続して発生していることが判明.これに基づく解析により,地震の規模はマグニチュード9.0と推定された.このような複雑なかたちで破壊した地震は極めて希であり,1つめの巨大な破壊に相当する波形とは異なる通常見られない特殊な地震波形が認められた(気象庁[1]).

■各地の震度,地震加速度:
 巨大な断層のずれは3分にわたる長い時間にわたって続いたと考えられ,各地で地震の揺れも長時間続いた.本震で震度5強以上を観測した気象庁の観測点において,震度4以上が継続して発現した時間は,130sec~190sec,千葉市・東京都・横浜市でも130secに及ぶものであったという(気象庁). 
国土交通省による港湾地域強震観測[2]による各地の港湾における主な加速度観測記録が公開されている.地表面加速度最大値は,釜石港358gal(E-W),仙台港624gal(N-S),千葉港125gal(N-S),東品川208gal(N-S)などとなっている.震源に近い仙台港と釜石港における地表の加速度観測値を作図して示す.この加速度波形からは,少なくとも2つの主要な地震破壊が連動して起こったことが想起できる.
  
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釜石港            仙台港
 
■余 震:
 今回の地震は,余震活動が非常に活発であることも特徴.4/6現在での余震は,M7.0以上3回(7.7、7.5、7.4),M6.0以上66回,M5.0以上394回.最大震度4以上を観測した余震は90回に及んだ.その後,4/7にはM7.4,4/12(今日)にもM7.1の大きな余震が発生している[1].

■地殻の変動
 国土地理院は,東日本大震災により宮城県の牡鹿半島において,震源のある東南東方向に約5.3m移動し,約1.2m沈下する観測史上最大の地殻変動があったと発表した(4/19).また,地震後も東北から関東地方の広い範囲で東向きに地殻が変動し続けており,約1週間で岩手県山田町では25cm,千葉県銚子市で17cmの大きな変動が観測された[3].
北米プレート上の水深約1,100~1,700メートルに設置された,震源付近にある3つの海底基準局に関する海上保安庁の調査によると,本震およびその後の余震活動により,震源のほぼ真上に位置する宮城県沖の基準点(宮城沖1)が,地震前の2/21 の観測結果に比べて東南東に約24m移動し,かつ約3m隆起した.震源の約40km西側に位置する基準点(宮城沖2)では,東南東に約15m移動し,約0.6m沈降.福島沖の基準点でも東南東に約5m移動したことが報告されている[4].

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海上保安庁による調査結果[4]

■津 波:
 本震に伴って大規模な津波が発生し,東北地方沿岸を中心に北関東および北海道の太平洋沿岸に大きな被害をもたらした.大津波警報は千島列島から北海道太平洋岸および津軽海峡,青森県から静岡県まで続く太平洋岸,紀伊半島および四国の太平洋岸に発令された.これ以外の日本のすべての海岸地域には津波警報または津波注意報が発令された.
 岩手県南部沖に設置されたGPS波浪計が記録した津波波形によると,本震後まもなく引き波が観測され,続いて15時ころから約2mの押し波が現れ,水面はそのまま急激な上昇をみて約7mに達した後,-3m程度まで引くという2段の上昇挙動をみたあと,さらに2mから1m程度の波高の津波が第7波まで,時刻では21時頃までの間に観測されている[1].津波の規模は1960年のチリ地震津波をはるかに超え,各地で甚大な被害をもたらした.
 津波の挙動に関しては,市街に津波が浸入して家屋を破壊していく様子など,多くの画像が記録された.また,津波が沖合から,緩勾配の海底地形の上を海岸に向かって進行する様子が撮影されている.海上保安庁の巡視船は,沖合にて津波を乗り越える様子を撮影している[6].
 この津波発生を受けて,多くの学協会等が津波およびその被害に関する調査を開始している.これらによる速報をもとに,各地の浸水高さをざっと整理(暫定)してみた(http://njpc.building.officelive.com/tsunami.aspx).


[1] 気象庁;気象庁:「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第34報)
[2] 国土交通省:http://www.mlit.go.jp/kowan/kyosin/eq.htm
[3] 国土地理院:GPS連続観測から得られた電子基準点の地殻変動,http://www.gsi.go.jp/chibankansi/chikakukansi40005.html
[4] 海上保安庁,『宮城県沖の海底が24メートル動く~東北地方太平洋沖地震に伴う海底の動き~4月6日』
[5]
独立行政法人 港湾空港技術研究所:平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による津波のGPS波浪計による観測結果について,http://www.pari.go.jp/info/tohoku-eq/20110328pari.html,2011.03.28
[6]
巡視船:http://www.youtube.com/watch?v=4-mkzcxnJS8,(これによると,約3分の時間に3回に渡って波の峰を乗り越えている様子が確認できる.うち2回はかなり大きな波高であることが推測できる.)





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