[PR]
Posted on Friday, May 17, 2024 13:29
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
漁業集落の危機,限界集落化
Posted on Saturday, Dec 05, 2009 16:25
- 未利用・未出荷の魚種の活用,付加価値をつける商品開発(トレーサビリティや各種品質認証,地域独自の料理の商品化,鮮度保持技術の導入など),などを通じて価格や収入拡大をはかる取組み
- 遊漁の兼業,定置漁業への転換
- 朝市での直販,市場を通さずに高級食材を供給するルート開発
- 生産・流通・消費までを包括したフードシステム全体での取り組み
- 種苗放流や漁獲の管理(網目制限,体長制限など),資源管理に向けた各種調査
- 漁礁による漁場造成と漁業管理,間伐材での簡易漁礁設置と漁業・遊漁での利用など.
- 都市住民からの財政支援を募って新規参入を助成
- 都市・漁村交流,観光事業,新規事業としてのオーナー制度
- 漁業者が抱える問題・課題を的確に認識し,解決するプログラム・活動を提供すること.
- 生産・流通・消費までを包括したフードシステム全体での取り組みにより,流通や商品価値のフェーズでの課題解決をはかる.
- 漁業者自らが危機意識をもち,自発的に活動すること
- 若年層が漁村地域の事業に関わる機会を提供すること,および,従前のままではなく若者が入り込める新たな事業・プロジェクトが必要である.
- その方策では,都市漁村交流による直販機会の拡大,観光・エコツーリズム,商品開発,事業機会の拡大,認知・情報発信など.
- 環境事業分野に活路が開ける可能性がある.
- 上記のような活動・事業の展開には,漁業地域の問題に包括的に取り組める人材が必要
- 加えて,集落住民の危機意識と自発的な行動
- 地方自治体単位ではなく,地域・集落・共同体を意識した取組みの必要性
- 県レベルでは漁業の振興,市町村レベルでは集落・地域の振興を考え,取り組むことになるであろう.
- 対症療法ではなく予防的施策の展開
- 現場の課題を動機に,学の領域からの客観的な分析・評価・研究を展開し,
- 問題解決に向けた提言を行い,現場と協働して地域の問題解決に取り組む.
限界集落化が進んでいる
Posted on Thursday, Dec 03, 2009 14:08
集落が限界集落に転じていく理由やプロセスは,細かく見ていくと多様なものとなるが,大野教授は限界集落化の視点において,量的な規定を用いて集落を4つの類型に整理している.これが,存続集落(55歳未満が半数以上),準限界集落(55歳以上が半数以上),限界集落(65歳以上が半数以上),消滅集落(無人)である.
- 地域が育んできた伝統芸能・伝統文化の喪失
- 日本人の文化・感性を育んできた山村の原風景の喪失
- 山の荒廃と放置林化,および流域環境の劣化,防災機能の低下,沿岸海域の環境劣化
○つまりは,いかに若年層を農山漁村のコミュニティに呼び戻すかが焦点ということであろう.そのアプローチは,
- 農山漁村と都市間の人的・社会的・文化的・事業的な交流機会の促進,農山漁村地域の生活利便性の向上,1次産業就業者の収入向上などを誘引・導入・促進する施策・制度の展開を,
- 政策・施策面だけでなく,
- 住民・市民レベルでの自主・能動的な取組みと協働して推進する.
<本稿最後に, 漁業集落の理想像を描くべきでは? >
ここまで,ずっとあまり明るくない話題に終始してきたが,我が国にも,いろんなところがうまく関連しあって,聴くだけで”あぁ,行って見たいな”と多くの人が反応するようなところもあるはずである.たとえば愛媛県双海町などのように.あるいは,先進諸国の田舎にもそんなところがあるはずである.詳しく調べてはいないが,Yukka(友人,職業;ドライバー,outdoorガイド)の住むフィンランドのバルカウス村,UKのコーンウォールの幾つかの漁村など,少なくてももう少し明るい社会生活がそこで営まれている.
どんな漁村像,漁業集落像を描くことができるだろうか,理想像を描いてみることが必要に思う.
限界集落
Posted on Thursday, Dec 03, 2009 09:25
■限界集落道内570ヶ所,うち160ヶ所は消滅の可能性!!
■限界集落とは:
■限界集落によって生じる問題:
さらにはもうひとつ,笑えない問題を指摘する資料をみつけた.農産漁村の一次産業と集落社会を対象とした最近の行政施策では,小地域単位 の合意形成を背景に,対象となる一次産業の支援をはかる取り組みが結構あるらしい.しかし,その受け手が疲弊し,とても小地域社会を維持できなくな りつつあるのだから,せっかくの施策は空振りとなってしまうわけである.
海辺の資源を活かした地域活性化
Posted on Tuesday, Sep 15, 2009 14:45
ず いぶん前の話であるが,平成16年に日本政策投資銀行が『海辺の資源を活かした地域活性化の取り組み-全国8地域の事例紹介とそのポイント』という調査レポートを公開した.同レポートでは,戦後復興から高度成長期を過ぎ,大都市圏への一極集中の是正と国土の均衡ある発展を目指した全国総合開発計画の成果は,1980年代に入ってのち,様相が変わってきたことを指摘する.すなわち,経済・産業の主役・牽引車は,重厚・長大な分野からITサー ビスや多様な金融サービスなどの分野に移行する傾向を強めるとともに,東京圏などの大都市圏への人口,産業・経済中枢機能などの集中が進み,他方,地方圏 において高齢化の加速,若年層の都市部への流出が続いており,地域社会の活力低下が続いていたのである.(この傾向は現在でも変わっておらず,問題は深化 している.)そこで,地域が独自にそれぞれの魅力と個性を見つめなおし,それを基にした活性化に取り組み,雇用・所得・地域愛と誇りの醸成をはかり,自立 した地域を次世代に継承すべし,と指摘する.そして,全国8地域において成果をあげた取り組み事例を紹介している.このレポートで取り上げられた8地域のなかから次の4地域について,近況を探ってみた.
- 北九州市門司区:歴史的建造物を活用したみなとまちの復興
- 愛媛県双海町:海に沈む美しい夕日を基にしたまちづくり
- 青森県市浦村:タラソテラピーによる住民の健康づくり
- 高知県室戸市:海洋深層水を基にした地域産業の創出
①北九州市門司区:
北九州門司港区への観光入込客数は,H15年に向かって増加するが,同年をピークにその後H14年水準に微減して,H19年時点までの間は頭打ちとなっている。一方,同じ北九州市のその他の観光スポットは,H9~10年あたりを境に軒並み減少傾向が続いている。これからすると,門司港区におけるまちの復興策が奏功し,最近まで安定した観光入込が続いていると考えられる。そもそも門司港区は歴史的な資産を多く保有しており,その手持ちストックを上手に活用できた事例なのだろうと思う。
② 愛媛県双海町:
③ 青森県市浦村:
タラソテラピー施設 が平成12年11月にオープン,開業当時は地域包括ケアシステムの推進と相まって,以降の国保医療費が減少しているとの報告があった .高齢化が進む地域の健康増進効果を定量評価するのは難しく,その後に市町村合併によって五所川原市となり,客観的な評価はさらに難しい.年間1万人程度の利用予測で,H18・19年度の平均収支は3300万円の赤字?.しかし,地域住民の生活・福祉向上に寄与し,医療費の削減に貢献しているらしい点で評価に値するのだろうと思う.しかし,赤字分を自治体が負担できる限度と,施設による便益のバランスが,この先も安泰とは限らないであろう。
一方,同時期に東北地方では他にも2つのタラソ施設が計画されていた.このうち陸前高田市は廃案,宮古市はH15年開業するも経営は厳しく,H19年度決算で1.4億円の累積赤字を抱え,タラソ利用者は開業2年目のH16年度をピークに落ち込みが続く.市浦のタラソは,集客を狙った宮古や高田とは目指す方向が違ったところが幸いしたとも考えられる.
施設をつくって人を呼ぶという構図の限界,地域の福祉・環境向上で身の丈に合う取り組みが必要ということではないか.
④ 高知県室戸市:
関連商品の売り上げは年間100億円を超えると言われ,「室戸海洋深層水」のブランドは広く定着してきた.しかし,国の「地方の元気再生事業」に採択されている「次世代の湯治場」構想の中核施設でもある,海洋深層水を使った健康増進施設「バーデハウス室戸」は,H18年の開業以来利用者が伸び悩む.さらに,指定管理者の親会社が今年2月に経営破たんしたため,この6月に指定管理者が清算・撤退した.今後は,室戸市が運営会社を設立して運営を引き継ぐとのことである."なにかつくって地方に人を集める"という手法が,いかに室戸海洋深層水であろうとも,簡単にはいかなかったということであろうか.
公共性のある施設をつくり,運営するのであれば,お金の収支だけで白黒つけるのは間違いと思う.しかし,ならば,どうであれば成功なのか,便益あるいは効果が出ているのか,施設やプロジェクトを評価する視点・基準・確固とした達成目標を明示できないといけないのであろう.社会基盤整備のプロセスにおいて,事業者側ではアカウンタビリティーの重要性が頻繁に指摘される.しかし,住民の側においても,もっと自発的に社会基盤整備の場に参加して意見を示すこと,活動すること,自分の住む地域のことを考えることが必要であろう.昨年訪れた英国(漁港施設の整備状況を調査した)で痛感したのは,新しい施設だけでなく,ちょっとした道路や公園の整備・補修などの小さな案件でも,地域の住民の公聴会が頻繁に開催されていること,地域住民が強く望まないと,なかなか基盤整備の予算が回ってこないことなどである.