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エネルギー供給構造高度化法
Posted on Wednesday, Oct 07, 2009 16:08
今年2月に二階経済産業大臣(当時)は,太陽光発電に対する新たな電力買取制度を創設してH22年度までに開始することを発表,「エネルギー供給構造高度化法案」を国会に提出することを明らかにした。そして7月1日,『エネルギー供給構造高度化法(エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律)』が成立した。これは,簡単に言うと,太陽光発電設備による余剰電力を電気事業者が現在の二倍程度の価格で買い取ることなどを定めたものとなっている。現在,電力事業者が自主的に買い取っている価格が24円kWhだそうで,これを一般家庭からは48円/kWh程度で買い取ることになるという。また買い取り期間は10年程度となっている。
太陽光発電システムは可動部分がないのでメンテナンス性に優れている様で,一般家庭への導入性に優れているように思う。導入時の補助金制度もあり(現在の制度は申請が来年1/29まで,かつ予定予算額に達した時点で募集打ち切りだったはずだが),やってみたくなる環境が整ってきた。我が家でもどうか,なんて思っている。
一方,電力事業者の電力買取り額が拡大し,それを一般の電力料金に上乗せするそうであるから,えっ?と感じる市民も出てこよう。強力な財政支援のもとで行われる政策,,,というよりは,他人のなんとかで相撲を取ろうとしている感もある。また,太陽光発電だけが対象というのも,太陽光発電好きの経済産業省ならでは,である。ほかの再生可能エネルギー開発のインセンティブが萎えてしまわないように,多面的な制度の拡大をぜひ推進してほしいと思っている。・・・当然そうなると思うが。(それに48円/kWhなら波力発電だっていい勝負ができる・・・はず)
他方,民主党は衆院選のマニフェストで,自家消費分も含めた全発電量を買い取るという制度案を掲げている。また太陽光発電以外の再生可能エネルギー(発電)も買い取りの対象にすることを検討しているという。読売新聞記事(10/7)によると,直嶋経済産業相は,2年後に電力買取制度を見直すという麻生政権での方針に対し,これにこだわらず,また全量買い取りを視野に入れた検討をする方針とのことである。そうなると,国民負担が拡大することになり,産業界だけでなく一般市民の理解をいかに得るか,補助制度などを含めて多くの議論と調整が必要になろう。
ところで巷では,太陽光発電の勧誘セールスも盛んになっているらしく,当然,といっては情けない話であるが,悪質なセールス活動で法外な値段で買わされる事例も出ているそうである。
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気候変動は不可避?
Posted on Friday, Sep 25, 2009 15:21
地球温暖化対策を主議題とする昨年の洞爺湖サミットに先立って開催されたG8環境大臣会合において,2007年6月のハイリゲンダム・サミットにおける,『世界全体の温室効果ガス排出量を現状に比して2050年までに半減することを真剣に検討する』という合意を出発点に,地球規模の長期目標に関する共有ビジョンへの合意をめざすという強い政治的意志が表明された.
しかし,途上国を含んでの『世界で半減』は容易ではない.現在,世界の温室効果ガスのほぼ半分は中国やインド(もう途上国とは言えないだろう)および途上国から排出されている.これらの国々における排出量半減を達成するというのは非現実的であり,またその国々が同意するとは思われない.RITE(財団法人地球環境産業技術研究機構)によると,『2050年に世界全体の排出を今の半分にするためには,先進国からの排出をゼロとしても,途上国は約60%削減しなければならない』,ためである.
そこで前出のRITEは,CO2 濃度を550ppmに安定化することを提案している.この場合,2050年における世界のCO2 排出量は2000年比で35%増前後となる.この場合,先進国・途上国ともに,削減量負担が現実的な数値にでき得ると提案している.
ただし,地球温暖化が温室効果ガスに起因して進行しているというモデルが正しいと仮定して,このCO2 濃度レベルでは,地球の平均気温は3℃台の上昇を伴うと言われる.するとやはり,異常気象や海面上昇など,気候への影響は不可避であることになる.
それにしても,昨年の洞爺湖サミットがずいぶん昔のことに感じられる。当時の首相は福田康夫,でも今の総理は鳩山由紀夫で,両者の間にもう一人,麻生太郎がいるというわけだ。国の宰相がこうも短期間に代わるとは,まったく驚異の先進国ではある。
IPCC 4thアセスメント・レポート
Posted on Friday, Sep 25, 2009 12:07
IPCCによる4th Assessment Report(2007.2)によると,
1995年から2006年の間の12年間のうち,11年が1850年以来の平均気温上位12年中の11件を占める結果となっている.平均気温の上昇は全地球に拡がっており,特に北半球で顕著となっている.また,気温だけでなく海水温も上昇しているという.
同時に,海水面も平均気温の上昇とともに継続的に上昇しており,1961年以来の平均で1.8mm/年,1993年以降では3.1mm/年の割合で上昇している.これは気温・水温の上昇と,氷河や氷冠の融解,北極海の海氷の減少によるものと考えられている.ただし,1993年以降の上昇速度増大が短期的な(といっても10年オーダー)変動によるものなのか,あるいは長期的な傾向であるかについては不明である(ちなみに,北極海の海氷が融けても,もともと海面上にあったものなので,この部分は海面上昇への寄与度は大きくはないはず).また,大雨や高潮の頻度は世界レベルで増大しており,地域レベルでの気候特性にも過去とは異なる傾向が生起していると述べている.
温室効果ガス(GHG),エアロゾル,陸地,太陽の放射などが地球のエネルギーバランスを左右している.このうち人間活動に起因するGHGは産業革命以降増大を続けており,とくに1970年以降における増加が顕著である.なかでもCO2は,地球温暖化現象において最も重要なガスであり,1970年以降の増加量は,産業革命以降のそれの実に80%を占めるという.
この結果,2005年における大気中のCO2濃度およびCH4濃度はそれぞれ379ppm,1774ppbで,過去65万年の間の記録をはるかに上回っている.そして20世紀の中期以降から顕在化した平均気温の上昇は,これらGHG濃度の増大と同期していることを指摘する.一方,過去50年間における太陽放射と火山活動は気温の下降をもたらすと考えられており,IPCCは,人間活動によるGHG濃度の上昇が地球温暖化をもたらした可能性が非常に高いと述べている.
そして, 京都議定書や洞爺湖サミットなど,国際的な取り組みにもかかわらず,GHG濃度はあと30年間程度は増大しつづけるであろうと述べている.IPCCスペシャル・レポート(2000)のシナリオでは,化石燃料が人類の産業活動の主体のままである場合,2000年から2030年の間に,GHG排出量はCO2換算25%から90%も増加すると予想している.このままGHGを現在の,あるいはそれ以上の比率で排出し続けると,20世紀に経験した以上の地球温暖化の進行を引き起こすことになる.
今後,地球の平均気温がどう変化するかは,GHG排出量がどう変わっていくかによって大きく異なる.IPCCではいくつかのCO2排出シナリオについて,今後のCO2濃度および平均気温変化の予測結果を公表している.それによると,2100年でCO2濃度を700ppmに制限するシナリオの場合で,同年までに2.4℃の上昇となる.海水面の変動の予測はかなり難しいため,当該レポートでは,今後の傾向・予測を述べるには至らず,シミュレーション結果を提示するにとどまっている.ちなみに上記シナリオの場合で0.20m-0.45mの上昇と推測している.
さて,このような地球温暖化を緩和・阻止するためには,GHG濃度をできるだけ低いレベルで安定化させることが必要である.そしてそのためには,GHG排出量をいずれかのレベルで減少に転換させなければならない.この転換点となるピークレベルが低いほど,またその時期が早いほど,GHG濃度の安定化レベルを低くすることができる.IPCCによる安定化シナリオのうち,カテゴリーⅡと呼ばれるものの場合,CO2平衡濃度が400-440ppm,排出ピークは2000-2020年,2050年排出量は2000年比で-60%~-30%,産業革命後の気温上昇量2.4-2.6℃,海面上昇量0.5~1.7m(熱膨張のみ)となっている.
鳩山演説 in 国連気候変動首脳会合
Posted on Thursday, Sep 24, 2009 15:18
9月22日の国連気候変動首脳会合において,就任間もない鳩山首相は,我が国における温室効果ガス排出量を2020年までに1990年比で25%削減することを表明した。これに対し,参加した各国首脳から高い評価の声が上がったという。国内産業界から次々と表明されている経済・産業活力への影響を懸念するコメントに目もくれず(のように見える),力強くわが国の目指す道を提示したのだなぁ・・・と思いながらこの報道を耳にした。また,この目標の実現のための方策に関しては,「あらゆる政策を総動員して実現を目指す」とし,国内排出量取引制度や再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の導入,温室効果ガス対策税(環境税)を検討する考えを示した。
欧州では1990年にフィンランドにおいて世界で最初の炭素税が導入され,その後1992年までの間にオランダ,スウェーデン,ノルウェー,デンマークの順に導入されていった。さらに1999年にドイツとイタリア,2001年イギリス,2006年にスイスにて導入されてきた。
一方フランスでは,産業界などの反発が強く導入が遅れていたが,フランス政府は,8月時点で炭素税の2010年からの導入する法案を議会に提出する意向を示していた。そして9月10日,大統領声明において,温室効果ガスの排出に課税する「炭素税」を来年から導入する意向を示した。CO2排出量1トン当たり17ユーロを課税する予定(8月時点では32ユーロだった)という。次々と先進国がGHG排出削減政策を実施し始めており,なにやらあわただしくなってきた。
欧州における海洋エネルギー開発動向を探っているところであるが,そのインセンティブとしてこの炭素税,および固定価格買い取り制度が大きな役割を果たしていると感じる。ただし,国それぞれの事情や環境があり,炭素税が必ずしもGHG削減だけを目的としているのではなく(GHG削減のための財源だけではなく),一般財源対策としての役割も小さくないようではある。