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IPCC 4thアセスメント・レポート
Posted on Friday, Sep 25, 2009 12:07
IPCCによる4th Assessment Report(2007.2)によると,
1995年から2006年の間の12年間のうち,11年が1850年以来の平均気温上位12年中の11件を占める結果となっている.平均気温の上昇は全地球に拡がっており,特に北半球で顕著となっている.また,気温だけでなく海水温も上昇しているという.
同時に,海水面も平均気温の上昇とともに継続的に上昇しており,1961年以来の平均で1.8mm/年,1993年以降では3.1mm/年の割合で上昇している.これは気温・水温の上昇と,氷河や氷冠の融解,北極海の海氷の減少によるものと考えられている.ただし,1993年以降の上昇速度増大が短期的な(といっても10年オーダー)変動によるものなのか,あるいは長期的な傾向であるかについては不明である(ちなみに,北極海の海氷が融けても,もともと海面上にあったものなので,この部分は海面上昇への寄与度は大きくはないはず).また,大雨や高潮の頻度は世界レベルで増大しており,地域レベルでの気候特性にも過去とは異なる傾向が生起していると述べている.
温室効果ガス(GHG),エアロゾル,陸地,太陽の放射などが地球のエネルギーバランスを左右している.このうち人間活動に起因するGHGは産業革命以降増大を続けており,とくに1970年以降における増加が顕著である.なかでもCO2は,地球温暖化現象において最も重要なガスであり,1970年以降の増加量は,産業革命以降のそれの実に80%を占めるという.
この結果,2005年における大気中のCO2濃度およびCH4濃度はそれぞれ379ppm,1774ppbで,過去65万年の間の記録をはるかに上回っている.そして20世紀の中期以降から顕在化した平均気温の上昇は,これらGHG濃度の増大と同期していることを指摘する.一方,過去50年間における太陽放射と火山活動は気温の下降をもたらすと考えられており,IPCCは,人間活動によるGHG濃度の上昇が地球温暖化をもたらした可能性が非常に高いと述べている.
そして, 京都議定書や洞爺湖サミットなど,国際的な取り組みにもかかわらず,GHG濃度はあと30年間程度は増大しつづけるであろうと述べている.IPCCスペシャル・レポート(2000)のシナリオでは,化石燃料が人類の産業活動の主体のままである場合,2000年から2030年の間に,GHG排出量はCO2換算25%から90%も増加すると予想している.このままGHGを現在の,あるいはそれ以上の比率で排出し続けると,20世紀に経験した以上の地球温暖化の進行を引き起こすことになる.
今後,地球の平均気温がどう変化するかは,GHG排出量がどう変わっていくかによって大きく異なる.IPCCではいくつかのCO2排出シナリオについて,今後のCO2濃度および平均気温変化の予測結果を公表している.それによると,2100年でCO2濃度を700ppmに制限するシナリオの場合で,同年までに2.4℃の上昇となる.海水面の変動の予測はかなり難しいため,当該レポートでは,今後の傾向・予測を述べるには至らず,シミュレーション結果を提示するにとどまっている.ちなみに上記シナリオの場合で0.20m-0.45mの上昇と推測している.
さて,このような地球温暖化を緩和・阻止するためには,GHG濃度をできるだけ低いレベルで安定化させることが必要である.そしてそのためには,GHG排出量をいずれかのレベルで減少に転換させなければならない.この転換点となるピークレベルが低いほど,またその時期が早いほど,GHG濃度の安定化レベルを低くすることができる.IPCCによる安定化シナリオのうち,カテゴリーⅡと呼ばれるものの場合,CO2平衡濃度が400-440ppm,排出ピークは2000-2020年,2050年排出量は2000年比で-60%~-30%,産業革命後の気温上昇量2.4-2.6℃,海面上昇量0.5~1.7m(熱膨張のみ)となっている.
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