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気候変動と港湾政策の方向
Posted on Monday, Sep 14, 2009 10:08
『地球温暖化に起因する気候変動に対する港湾政策のあり方 答申(案)』
これは国土交通省の交通政策審議会の防災・保全部会というところが2月にとりまとめ,3月初めに審議会の港湾分科会に報告する(した)もの.でその目的と中身は?というと,
IPCC報告では,気候変動に伴う水位上昇などの現象に対して,直接的な影響の軽減をはかろうとする適応策と,気候変動の原因となる温室効果ガス排出を削 減しようという緩和策をもって,互いに補完させることで,気候変動による被害リスクを低減できることが提示されている.上記答申案においても,この考え方 をもとにして,港湾政策において,どのように適応策および緩和策を展開するか,パブリックコメントで公募した意見を踏まえてまとめたものとなっている.簡 単にそのメニューを列記すると,まず適応策としては,
- 海面水位の上昇等に対応した柔軟な防護能力等の向上
- 高潮発生時の災害リスク軽減のための予防的措置(上屋や倉庫の嵩上げなど)
- 災害対応能力の向上(初動体制,機能回復,代替機能など)
- モニタリング,既存施設の情報,災害リスク評価技術,老朽化対策,関連技術の開発
などに取り組むとしている.一方緩和策では,
- 低環境負荷の物流システム構築(陸上輸送からのモード転換の誘導,港湾機能配置および航路ネットワーク検討,陸上の空荷輸送・コンテナ横持ちなど非効率性の改善等)
- 港湾活動におけるGHG排出削減(総合的な道路体系,船内発電,再生可能エネルギー利用等)
- 港湾におけるGHG吸収源拡大(緑地,藻場,ヒートアイランド対策等)
- 臨海部の産業間連携等の推進
- 港湾における総合的なGHG排出削減計画の策定
などを揚げている.
水産資源の管理方法いろいろ
Posted on Monday, Sep 14, 2009 10:03
◆漁獲量一定方策:
漁獲量を一定にするという前提の元で,持続的に取り除きうる漁獲量の最大値を定める方法.当初は,親子関係を含め,すべて定常状態を仮定していた.この場合,資源がMSY水準を下回ると,資源は一方的に減少してしまうという欠陥がある.
◆漁獲率一定方策(Constant harvest rate strategy; CHR)
漁獲量一定方策のあとに続いて一般化した方策.これは資源量のうち,常に一定割合の漁獲を許す方策.資源水準が低くても一定の漁獲を許容することになるという問題がある.また,再生産関係を適切に予測できないと破綻することになる.
◆獲り残し量一定方策(Constant escapement strategy; CES)
漁獲量一定では,変動する資源量がMSYを下回ったときに絶滅してしまう.これに対し,常に一定以上の加入量を確保するように,資源・産卵資源を取り残す方法.漁獲量は一定ではない.最適な獲り残しバイオマス水準をBMSYと呼ぶ
◆漁獲可能量による方法(MSY(最大持続漁獲)Control Rules)
MSY Control Ruleは資源状態の関数として漁獲圧を表現したもの.資源状態に対して柔軟に対応できるところが特徴で,資源が減少したときには回復で きるような捕り方,多いときには許容的な捕り方を与えることができる.非定常な資源にも適用可能であり,フィードバック機能を組み入れることもできる.
ふ~ん,なるほど.
日本の漁獲量の変遷
Posted on Monday, Sep 14, 2009 10:03
世界の漁業生産は1990年代から概ね頭打ちになっている.一方,日本の漁業生産は90年代以降に激減し,現在はピーク時の40%を下回り,終戦後である 1950年代の水準となっている.海外の研究者の報告によると,1980年から2000年にかけて,日本の周辺海域から魚が激減したことが示されている. 水産総合研究センターの報告でも,日本の主要な漁業資源の状態は,約半数が低位にあるとのことである.
我が国の年間漁獲量は1980年代当時,世界1位を誇っていた(1988年まで).その内訳をみると,1970年代はスケトウダラ,1980年代はマイワ シの大豊漁に支えられたものであった.このうちスケトウダラの漁獲は,200海里体制定着によって外国水域からの撤退を余儀なくされたこと,それを補って 本格化したベーリング公海も1988年のベーリング公海漁業規則により減少,国内漁場での資源減少などにより,1970年代半ばから減少が続き,現在では 盛期の15分の1以下まで低下した.このスケトウダラの減少と同じ時期に,それまでほとんどとれていなかったマイワシが急激に漁獲を拡大し,1980年代 には,我が国の年間漁獲量のピークを迎えることになった.しかしその一方では,マイワシ以外の多くの魚種で,漁獲は一様に減少傾向を示していた.突然登場 したマイワシが1990年代に入って急激に減少すると,1970年代から続いていたマイワシ以外の魚種の漁獲減少が顕在化したのである.
SOFIAから,世界漁業統計
Posted on Monday, Sep 14, 2009 09:59
今年の3月初め,FAOよりSOFIA(世界漁業・養殖業白書)2008が発表された.これは1年おきに発行されるもので,きれいでわかりやすくまとめられていて気に入っている.
今回の報告では,水産業界および各国政府の水産関連機関においては,気候変動が漁業にもたらすであろう影響について,さらに理解を深めると同時に準備を強 化する必要性のあることを強く提言するものになっている.気候変動はすでに海洋・淡水の生物種の分布に影響を与えている.温水性の魚種はより緯度の高い地 方に押しやられており,生息範囲や生産性にも変化が表れている.また,生物学的プロセスにおける季節変動にも影響を与え,海水・淡水の食物網を変え,漁業 生産に予測不能の影響を及ぼしている,と指摘する.
このため,すでに定められている(にもかかわらず十分に守られていない)責任ある漁業の手法をより広く実践・励行すること,また現在導入されている管理計 画については,気候変動対策まで拡大・強化することを求めている. SOFIAの著者の一人は,“漁業者や政府機関は, FAOが1995年にFAO総会で採択された責任ある漁業のための行動規範(Code of Conduct for Responsible Fisheries)に示されるような,正しい漁業行動・方法のもとで活動することが必要”と述べている.
さて,最新の統計情報であるが,世界の漁業生産量は2006年において1億4360万トン(漁獲漁業9200万トン,養殖漁業5170万トン),これまでの最高値に 達した.この増大の主因は養殖漁業生産の増加である.現在養殖漁業生産は,食用魚類の47%を占めるに至っている.漁獲漁業を支える天然魚種の資源の置か れている状況については,FAOがモニターしている水産魚種のうち19%のものが過剰に漁獲されており,8%は枯渇状態,1%が枯渇状態からの回復中にあ る.また,約52%は十分に利用されている状態にあり,同時にその最大持続生産(maximum sustainable limits)の限界かその近くの状態にある.一方,20%が控えめに利用されているか,または開発余地のある状態にあると報告されている.
そして,過剰な数の漁船と高効率の漁獲技術による過剰な生産能力が,漁業資源を脅かしている大きな原因になっていると指摘する.また,この問題に関する取 り組みの歩みは遅く,漁業に対して生態系システムへの予防的アプローチを適用し主流化すること,混獲と廃棄の撤廃,底引き網漁業の規制,サメ漁業の管理, 違法漁業対策に関しては,限られた進歩しか見られない,と述べている.
ソーシャル・キャピタル
Posted on Monday, Sep 14, 2009 09:50
初投稿,だけど,まずは自分の別blogからの転記::
アメリカの政治学者R.D.パットナムの研究を契機として,現代社会の様々な特性の分析において,「ソーシャル・キャピタル」の概念に大きな関心が集まっ ている.ソーシャル・キャピタルとは「人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を改善できる,信頼,規範,ネットワーク といった社会組織の特徴」と定義している(Putnam,内閣府国民生活局).そして「ソーシャル・キャピタル」が豊かなら,人々は互いに信用し自発的に 協力する,すなわち「集合行為のジレンマ」を解決する鍵として期待している.また,2005年に地域再生法に基づいて閣議決定された「地域再生基本方針」 においても,地域固有のソーシャル・キャピタルの活性化を通じて,企業,教育機関,公共団体などが,地域の重要な政策テーマに応じて連携する活動を促進 し,地域再生への支援に活用していくことが提示されている.
ここでちょっと,ソーシャル・キャピタルの定義を比較してみると,
◆R.D.パットナム
人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を改善できる,信頼,規範,ネットワークといった社会組織の特徴。
◆F,フクヤマ
信頼(Trust)が社会全体あるいは社会の特定の部分に広く行き渡っていることから生じる能力
◆世界銀行(World Bank)
社会的なつながりの量・質を決定する制度,関係,規範.社会的なつながりは経済の繁栄や経済発展に不可欠である.ソーシャル・キャピタルは単に社会を支えている制度ではなく,社会的につながりを強くするための糊の役割を果たしている.
◆OECD
規範や価値を共有し,お互いを理解しているような人々で構成されたネットワークで,集団内部または集団間の協力関係の増進に寄与するもの.
◆W.ベイカー(ミシガン大学 ビジネススクール)
個人的なネットワークやビジネスのネットワークから得られる資源であり,情報・アイデア・指示方向・ビジネスチャンス・富・権力や影響力・精神的サポート・善意・信頼・協力.
さて,地震などの災害の発生にあたり,地域住民個々人,小規模のコミュニティ,集落全体など種々の階層において,リスクワイズな行動を適切に実践するとと もに,効果的な防災機能を発現させるためには,地震発生時および被害発生時にとるべき行動や知識の普及・定着とあわせて,
- 個人が地域社会の他者を信頼し,互いに助け合うことができること.
- コミュニケーションや情報提供を通じて,自治体や各種防災組織と住民との間に信頼関係が構築されていること.
- 関係組織間の信頼関係が構築されていること.
が 望ましい.このような,ソーシャル・キャピタルの蓄積・向上をはかることによって,国や自治体などの組織による個別的な対応で完結するのではなく,各主体 間の隙間を埋めるとともに,住民個々の自助・共助を通じて,孤立者や弱者を災害から擁護することが期待される.特に,小規模の集落やコミュニティによって 形成され,高齢化・過疎化問題を抱える傾向の強い農山漁村地域においては,ソーシャル・キャピタルの蓄積は地域の防災力向上に効果が高いと考えられる.