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SOFIAから,世界漁業統計

 今年の3月初め,FAOよりSOFIA(世界漁業・養殖業白書)2008が発表された.これは1年おきに発行されるもので,きれいでわかりやすくまとめられていて気に入っている.

  今回の報告では,水産業界および各国政府の水産関連機関においては,気候変動が漁業にもたらすであろう影響について,さらに理解を深めると同時に準備を強 化する必要性のあることを強く提言するものになっている.気候変動はすでに海洋・淡水の生物種の分布に影響を与えている.温水性の魚種はより緯度の高い地 方に押しやられており,生息範囲や生産性にも変化が表れている.また,生物学的プロセスにおける季節変動にも影響を与え,海水・淡水の食物網を変え,漁業 生産に予測不能の影響を及ぼしている,と指摘する. 

  このため,すでに定められている(にもかかわらず十分に守られていない)責任ある漁業の手法をより広く実践・励行すること,また現在導入されている管理計 画については,気候変動対策まで拡大・強化することを求めている. SOFIAの著者の一人は,“漁業者や政府機関は, FAOが1995年にFAO総会で採択された責任ある漁業のための行動規範(Code of Conduct for Responsible Fisheries)に示されるような,正しい漁業行動・方法のもとで活動することが必要”と述べている. 

 さて,最新の統計情報であるが,世界の漁業生産量は2006年において1億4360万トン(漁獲漁業9200万トン,養殖漁業5170万トン),これまでの最高値に 達した.この増大の主因は養殖漁業生産の増加である.現在養殖漁業生産は,食用魚類の47%を占めるに至っている.漁獲漁業を支える天然魚種の資源の置か れている状況については,FAOがモニターしている水産魚種のうち19%のものが過剰に漁獲されており,8%は枯渇状態,1%が枯渇状態からの回復中にあ る.また,約52%は十分に利用されている状態にあり,同時にその最大持続生産(maximum sustainable limits)の限界かその近くの状態にある.一方,20%が控えめに利用されているか,または開発余地のある状態にあると報告されている. 

  そして,過剰な数の漁船と高効率の漁獲技術による過剰な生産能力が,漁業資源を脅かしている大きな原因になっていると指摘する.また,この問題に関する取 り組みの歩みは遅く,漁業に対して生態系システムへの予防的アプローチを適用し主流化すること,混獲と廃棄の撤廃,底引き網漁業の規制,サメ漁業の管理, 違法漁業対策に関しては,限られた進歩しか見られない,と述べている.

 

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