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ソーシャル・キャピタル

 

初投稿,だけど,まずは自分の別blogからの転記::

アメリカの政治学者R.D.パットナムの研究を契機として,現代社会の様々な特性の分析において,「ソーシャル・キャピタル」の概念に大きな関心が集まっ ている.ソーシャル・キャピタルとは「人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を改善できる,信頼,規範,ネットワーク といった社会組織の特徴」と定義している(Putnam,内閣府国民生活局).そして「ソーシャル・キャピタル」が豊かなら,人々は互いに信用し自発的に 協力する,すなわち「集合行為のジレンマ」を解決する鍵として期待している.また,2005年に地域再生法に基づいて閣議決定された「地域再生基本方針」 においても,地域固有のソーシャル・キャピタルの活性化を通じて,企業,教育機関,公共団体などが,地域の重要な政策テーマに応じて連携する活動を促進 し,地域再生への支援に活用していくことが提示されている.

 

 ここでちょっと,ソーシャル・キャピタルの定義を比較してみると,

◆R.D.パットナム

  人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を改善できる,信頼,規範,ネットワークといった社会組織の特徴。

 

◆F,フクヤマ

 

 信頼(Trust)が社会全体あるいは社会の特定の部分に広く行き渡っていることから生じる能力

 

◆世界銀行(World Bank)

 

 社会的なつながりの量・質を決定する制度,関係,規範.社会的なつながりは経済の繁栄や経済発展に不可欠である.ソーシャル・キャピタルは単に社会を支えている制度ではなく,社会的につながりを強くするための糊の役割を果たしている.

◆OECD

 規範や価値を共有し,お互いを理解しているような人々で構成されたネットワークで,集団内部または集団間の協力関係の増進に寄与するもの.

◆W.ベイカー(ミシガン大学 ビジネススクール)

 個人的なネットワークやビジネスのネットワークから得られる資源であり,情報・アイデア・指示方向・ビジネスチャンス・富・権力や影響力・精神的サポート・善意・信頼・協力.


  さて,地震などの災害の発生にあたり,地域住民個々人,小規模のコミュニティ,集落全体など種々の階層において,リスクワイズな行動を適切に実践するとと もに,効果的な防災機能を発現させるためには,地震発生時および被害発生時にとるべき行動や知識の普及・定着とあわせて,

  • 個人が地域社会の他者を信頼し,互いに助け合うことができること.
  • コミュニケーションや情報提供を通じて,自治体や各種防災組織と住民との間に信頼関係が構築されていること.
  • 関係組織間の信頼関係が構築されていること.

が 望ましい.このような,ソーシャル・キャピタルの蓄積・向上をはかることによって,国や自治体などの組織による個別的な対応で完結するのではなく,各主体 間の隙間を埋めるとともに,住民個々の自助・共助を通じて,孤立者や弱者を災害から擁護することが期待される.特に,小規模の集落やコミュニティによって 形成され,高齢化・過疎化問題を抱える傾向の強い農山漁村地域においては,ソーシャル・キャピタルの蓄積は地域の防災力向上に効果が高いと考えられる.

 

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