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UNEPよりグローバル・グリーン・ニューディールが登場

■ グリーン・エコノミー・イニシアチブ ■
 NEFの発表からわずか3ヶ月後の2008年10月22日,国連環境計画UNEPはロンドンにて,“国際経済を再結集させ,クリーン・テクノロジーと“自然“の社会資本(森林や土壌など)への投資に向かわせることが真の成長,21世紀における気候変動との闘い,および雇用増大をもたらす最良の解である”と宣し,“Global Green New Deal”と題するグリーン・エコノミー・イニシアチブを発表した。
 "Global Green New Deal" - Environmentally-Focused Investment Historic Opportunity for 21st Century Prosperity and Job Generation,
http://www.unep.org/documents.multilingual/default.asp?documentid=548&articleid=5957&l=en

その概要は,
 
 『20世紀の経済モデルは現在,26億人の人々が1日当たり2USD以下の収入で生活しなければならないこと,およびエコロジカル・フットプリントの点で限界点を迎えている。資本は早晩,世界経済のなかに流れ込んでいくだろうが,その折に,それらの資本は,昔日と同じ資源採取型の短期的な経済に向かうのか,あるいは新しいグリーン・エコノミー,すなわち貧困層と裕福層が,ともに多面的な経済的チャンスを得られるように,多面的な挑戦に取り組むという経済機構を目指すのかが問われている。』という認識を提示。この視点をもとに,発表されたイニシアチブでは,各国政府が,より良い選択が可能となり,世界中の資本家・企業・消費者に正しい市場のシグナル,すなわち
“我々は地球資源の採取に基づく経済から,地球を運営し地球への再投資に方針を変えた”
という情報を送ることができるよう,サポートすることを目的としている。
 グリーン・エコノミー・イニシアチブは,欧州委員会・ドイツ・ノルウェーから拠出された4百万ドル弱に相当する資金(部分的には2年前のG8+5参加国グループの要請による)を基礎としている。そして,欧州委員会とドイツの補助をもとに,Sukhdev氏が主導したG8+5による環境システムと生物多様性に関する経済(TEEB)研究が進められ,その検討結果はPhase-Iレポートとして,2008年5月ボンの生物多様性会議(UNEP)において報告された。 このレポートは,通常の事業活動による経済損失の規模と,環境システムと生物多様性における損失および,貧困の持続性などとの間の強い関連性に焦点を当てたものになっている。
 これをもとにしたグリーン・エコノミー・イニシアチブには3つの柱がある。すなわち,
  • 自然のもっている機能について,国家および国際的な場での会計価値を認め(GDP,国際勘定など),それを主流化する。
  • グリーン・ジョブと関連政策による雇用の創出
  • グリーン・エコノミーへの移行を促進可能なマーケットシグナルおよびそのツール
 この,TEEBの研究結果より構築された戦略は,UNEP,ILO,ITUC,IOEによるグリーン・ジョブ・イニシアチブとも連携したものとなっている。
 そして今後,UNEPなどの国連機関や関連機関などが,水産物や化石燃料のために拠出されている補助金の影響および,すでに移行を誘発しつつある革新的な市場メカニズムや金融商品などに関連する調査業務にあたることになると示唆した。さらに,18~24カ月の後には,包括的な評価結果と必要な変革を進めるための手段(ツールキット)を,各国政府に提言する計画としている。
 
■ グローバル・グリーン・ニューディールの5つの重要分野 ■
 グローバル・グリーン・ニューディールでは,経済面での成果,環境の維持および雇用創出のためには,次の5つの分野が最も大きな変化を創出しなければならないと述べている。
  • クリーン・エネルギーおよびクリーン・テクノロジー(リサイクル技術を含む)分野
  • 再生可能エネルギーを含む農村地域のエネルギー,およびバイオマス分野
  • 有機農業を含む持続的農業
  • エコシステムを導入した社会資本Ecosystem Infrastructure
  • 森林伐採と森林劣化の抑制による排出ガス削減 (REDD)
  • 持続可能な都市,交通計画および環境に優しいビル(green building)
 こうして,革新的で低炭素な市場メカニズムと投資・金融システムに向けて,市場を再編,方向転換する政策を通じ,経済を正しい形で活性化させ,雇用拡大,貧困問題の緩和,地球環境と資源の保護をはかろうという,総合的かつ画期的な国際経済政策が歩みだした。UNEPの声明に対してノルウェーの環境相は,このイニシアチブを即座に支持するとともに,ILOの示したグリーン・ジョブ・イニシアチブへの迅速な反応と連携を称賛するコメントを発表した。その後の動向については,2009年秋に経過レポートが発表されている。


エコロジカル・フットプリント:
人間1人が持続可能な生活を送る のに必要な資源量を,生産可能な土地面積(水産資源の利用を含めて計算する場合は陸水面積となる)として表わす指標。アメリカ;5.1ha、カナ ダ;4.3ha、日本;2.3ha、インド; 0.4ha、世界平均1.8haとなり,先進国の資源の過剰消費の実態を示すことができる。出典:EICネッ ト,http://www.eic.or.jp/ecoterm/?act=view&serial=2870


Sukhdev氏:
Pavan Sukdhev, Deutsche Bank所属,UNEPによるグリーン・エコノミー・イニシアチブ研究を指導

グリーンジョブ:
 2007年6月の国際労働機関(ILO)総会で提唱された考え方。環境への負荷を持続可能な水準にまで低減させ,かつ経済的にも採算の合う雇用のこと。

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