[PR]
Posted on Thursday, Mar 13, 2025 19:01
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
2009年度補正予算の削減に思う
Posted on Wednesday, Nov 04, 2009 16:17
鳩山内閣による政策転換の一環として行われた2009年度補正予算の大幅な見直しの結果,執行が停止・削減される事業が10/09に明らかにされた。それによると,国土交通省分では,補正予算額2兆3321億円の39%,9,170億円分の事業の執行が停止されるという。このうち,港湾・海上物流関連は次表のようになっており,およそ622億円が執行停止となった。さてこの中では,港湾の整備事業のなかでも重要な柱になるだろうと思っていた産業港湾インフラの整備分野で約300億円,34.9%が停止となってしまった。その内訳は関門航路のしゅんせつ費115億円,大型船舶に対応した港湾建設の技術開発費用134億円などである。一方,スーパー中枢港湾の強化は35億円,4.1%の削減にとどまった。削減対象は未執行であった,大阪港と神戸港の測量調査費とのこと。
ざっと斜め読みすると,防災・耐震機能強化は評価されているが,港湾インフラの整備・強化分野では,スーパー中枢港湾以外の港を切り代にされてしまった,というところか。予算の数字合わせのために,国の経済・産業基盤整備が立ち遅れ,アジアにおける日本の地位が地盤沈下を起こすことの無いように,メリハリをもって執行してもらいたいと考える。
表: 2009年度1次補正予算のうち,執行停止・返納となる港湾関連事業と予算額
表: 2009年度1次補正予算のうち,執行停止・返納となる港湾関連事業と予算額
事業名
|
追加補正額
|
執行停止額
|
総合的物流体系整備推進事業
|
46.9億円
|
4100万円(削減率0.9%)
|
独立行政法人港湾空港技術研究所施設整備事業
|
3.97億円
|
3200万円(削減率8.1%)
|
大型船舶に対応した産業港湾のインフラ刷新等
|
860.2億円
|
299.84億円(削減率34.9%)
|
スーパー中枢港湾の機能強化
|
850.12億円
|
35億円(削減率4.1%)
|
船舶版アイドリングストップ
|
9.65億円
|
0
|
基幹的広域防災拠点や耐震強化岸壁等の整備
|
79.98億円
|
0
|
独立行政法人海上技術安全研究所施設整備
|
|
4.4億円
|
独立行政法人航海訓練所施設整備
|
|
1.6億円
|
離島航路補助金
|
|
15.0億円
|
革新的な船舶の省エネルギー技術の研究開発
|
|
2.2億円
|
航路標識整備事業
|
|
63.1億円
|
こうして,政府予算枠のなかにおける公共事業・社会資本整備の割合が大きく減少している中で,地域の社会基盤整備をしっかり進めるためには,これまでのように行政に多くを依存するのではなく,地域住民や地域の経済・産業界が,自分たちの将来像をしっかり見据えて,行政と政治に働き掛けなくてはいけない構造に変わり始めているのかもしれない。社会資本は整備してもらうのではなく,整備してほしいものや機能などを積極的に要請し,またそれが社会の総意であったり,社会の発展に大きく役立つことを,受益者サイドがきちんと説明することが重要になるだろう。
社会資本整備の場においては,10年程前からアカウンタビリティの重要性が議論,注目されてきた。それももちろん重要であるが,住民はどちらかというと受身の構図であった。そこでは,行政・事業者が住民や関係者に,事業の趣旨・目的,内容,方法などをよく説明し,また意見をフィードバックして,相互理解の上に適正で合理的な事業を進めるといった構造であったと思う。すなわち,住民や関係者(ステークホルダー)は,どちらかというと事業の影響を被る側,行政は事業をやりたい側,建設業界や産業界は推進側,という構図であった。斜めに構えると,だからアカウンタビリティが叫ばれたとも言えなくもない。しかし,これからは住民・市民がもっと積極的に地域づくりに関心をもち,行動することが大事になるだろうと思う。
PR
Comment