忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

comments

商業波力発電開始

Mutrik波力発電プラントが世界初の商業運転を開始
 
 スペイン,バスク地方に建設されたMutrikの振動水柱型波力発電プラント(18.5kW×16基=0.3MW)が,ついに電力グリッドに接続され,7月8日より商業発電を開始したという.プロジェクトの主体は北バスク地方政府のエネルギー局であるEnte Vasco de Energia;EVE,発電装置はVoith Hydro Holdingが開発したもの,このほかシーメンスも参加.Mutrikプロジェクトの概要は以前に以下にダイジェストした,

http://njpc.building.officelive.com/Mutriku.aspx

防波堤建設を含む総事業費は600万EU,波力発電プロジェクト費用は230万EUとのこと.北バスク地方政府からの予算,欧州委員会ECの研究・技術開発における第6次フレームワーク・プログラム(FP6)と呼ばれる予算から20万EUの資金を受けている.The Sixth Framework Programme (FP6) とは,欧州委員会による研究,技術開発およびその実証のための国際的なチームによるプロジェクトに対する補助制度である。目的は,産業の基盤を支える科学・技術の強化と国際的な競争力の強化にあり,2002~2006年の期間において175億ユーロの予算を投入するものとなっている。
 
 本プロジェクトは,2009年夏には防波堤が概成し,発電プラントも設置され始めていたと記憶する.その後,あまり情報がなかったのだが,何の気なしに今日サーチすると,まさにkick offしたところであることを知った.

http://www.spainreview.net/index.php/2011/07/08/a-wave-power-plant-was-inaugurated-in-mutriku/

に最近の写真がある.

PR

0 comments

アンコウ塾セミナーに行った

ライフスタイルセンターとしての札幌~北海道に楽しい街を再生しよう,新しい街づくりの手法を語る
講師:浜野総合研究所 浜野安宏

というセミナーに出てみた。
 講師である浜野氏は,1960年代にファッション業界での事業を展開,70年代にかけてサイケデリックディスコをプロデュースして話題となった。同時に商業地域や地域の総合開発に進出し,バリ島ヌサドゥア地区の開発では現在の同地域の形成につながる大きな役割を果たした。現在までに多数の商業地域・施設・空間のプロデュースを手掛けると同時に,アウトドアライフにおいても日本の先導的な活動を体現し,フライフィッシングでは草分け的存在でもある。札幌では,大通り地区にある池内の再開発・プロデュースを担当したという。
 今回のセミナーは,氏が手掛けてきた地域開発プロジェクトの背後にある主張,およびその源泉となっている思想について言及し,北海道という環境のなかで新しい街を創造するためのコンセプトを示唆するものであった。ただし,そのメッセージは,都市工学建築工学系研究者や,マスコミ受けするようなデザイナー視点からのものではなく,かなり私的であり,かつユニークなものであった。
 講演は,ディープ・エコロジーの話から始まった。本来,ディープ・エコロジーとは,1972年にノルウェーの哲学者アルネ・ネスによって提唱された考え方である。近年広く認識されているエコロジー思想,たとえばリサイクル運動・節電・地球温暖化対策への協力などの環境保全活動は,現代の高度化された豊かな暮らし(大量生産,大量消費)と継続的な経済成長をはかりつつ,同時に自然環境の保全を両立することが可能であるという暗黙の前提の上に立っている。人間を中心にして自然環境との共生を目指すものとも言える。
 これに対してディープ・エコロジーでは,すべての生命存在は人間と同等の価値を持っており,人間の利益のためではなく,生命の固有価値が存在すると考えるゆえに,環境の保護を支持するものとなっている。ここで,生命の固有価値の存在を認識する方法として,原生自然体験や直感によることがあると言われている。講演では,難しい科学哲学・倫理論ではなく,様々な場所・時に見たり体験できた自然の諸相への直感的な感動に,氏の原初的な価値観・思想が立脚していることが,平易に示された。フライフィッシングの草分けでもある同氏にあって,この話に違和感は無い。しかし,この思想がどうやって東京の繁華街の商業施設プロデュースと結び付くか,いくつかの事業例を通じてうっすらとではあるが感じ取ることができた。おそらくは,直感的・原初的な感動体験を基盤にして,以降はテクノロジーであったりデザインであったり,などの手段によって幾多のプロジェクトが形作られたのであろう。
 講演の中では,北海道という地域がもつ魅力についても語られた。魅力として指摘された内容は特別なものではないが,日常の諸相の多くに直感的な感動をもって,それを生活の中で体現することが,同氏による新しい街や空間プロデュースの根底であることが感じられた。たとえば,雪が降るからアーケードをつくる,地下道をつくる,といったシナリオからはなれ,雪の中で行動する空間・サービスを提供し,雪のある環境のなかにある感動を共有するなどのアイデアが提示された。

郡部では人口減少,高齢化,産業活力低下,ひいては限界集落化が進行しつつある現在において,社会は依然として有効な解決コンセプト・手段を見つけられないでいるところが多い。この解決には,事業やイベントであるといった外的な手段ではなく,内的な変革を通じた社会様式・生活様式の移行などに目を向けるべき時期に来ている様に感じている。たとえば,限界集落の解消には,その地域に多くの若者が入り込むことが不可欠である。ならば,大学を地域に移せばよいだろう。欧米では,このような大学によって成立している田舎の小さな街が良くある。それも優秀な成果を多数あげている大学である。これが成立するためには,大学の魅力もさることながら,田舎の街の社会と暮らしに関して大きな価値を感じるという内的な価値構造が広く共有されていることが必要となるであろう。


0 comments

津波予報は当たらない?・・・否!

 3月11日午後,札幌での地震の揺れ具合,TVニュースの速報,大津波警報などの発令をみて,太平洋を望む砂浜のすぐそばにある実家に住む妹に電話をかけた.『津波警報が出たことは何回かあるけど,どのときも大した津波は来なかった.だから今度も,ここは大丈夫.』とは,なにを隠そう,彼女の弁.『今度ばかりは,俺からのお願いだから,息子(彼女の)を連れて高いところへ避難してくれ.夜も収まるとは限らないから,どこか高い所,**町がいい,そのあたりのホテルをとってTVで状況を確認しろ.』と必死で説得して,避難させたのであった.市では,避難勧告を出していた.
 500kmも離れた当地(筆者)でこれほどの揺れ,地震の規模がただごとではないことはすぐに分かった.昔家族が暮らした実家は,多分津波を被るだろうと覚悟した.まあ,震源域からは随分離れているので,床上浸水あたりだろうと踏んではいたが.結局,幸いにも津波が実家のある市街地まで遡上することはなかった.その日の夜,様子を聴くと,もう家に戻っており,まわりの住民はだれも避難しなかったという.少し不満そうにも聞こえたのだが,数日後,妹から連絡がきた.『やっぱり避難してよかった.ここも安全ではなかったみたいだった』とのこと.次からは,もっと慎重に判断してくれることと思っている.
 
 気象庁が発令する色々な警報,生活に密着したものから,あまり普通の/あるいは大多数の生活者には現実的でない部類のものまで,たくさんある.その中で,津波警報は,きわめて短い時間で,ほんのわずかの情報をもとに,津波の規模・危険度・到達時刻などを判断しなければならず,非常に難しいもののひとつである.その精度,的中率が低くても,筆者はどうとも思わない.誤差があって当然,低い方に当たらなければ,本当に良かったと考えている.津波予報は,海岸に津波が到達する前に出さなければならない,まさに津波との競争なのである.
 現在の津波予報は,次のようなものである.まず,事前に様々な規模の地震および津波に関する数値計算行って,地震による津波のデータベースをつくり,全国の海岸を66区に分割して,それぞれの区における津波の高さおよび到達想時刻を整理してある.地震が起きた際には,各地の地震観測データをもとに地震の規模および震源の位置を推定し,データベースの中から発生した地震と最も似たパターンの地震を抽出して補正を加え,津波の発生が予測される場合に発表するという方法をとっている.このおかげで,現在では地震発生から約3分以内に津波予報が発令できるようになった.
 しかし,実際に津波がどの程度になるかを評価するには,地震の詳しい震源域や断層の情報をもとに複雑で専門的な作業を行い,さらに実際に発生した津波記録と照合しながらフィッティング,つまり色々なパラメータを調整してもっとも再現性が高くなるようにすり合わせしなければならない.たった3分間でこれだけの作業を行うのは困難である.また,震源域が陸地に近ければ,この3分のうちに津波が到達してしまう場合もある.
 もし,保有している地震モデルが実際に起きた地震と相似していれば,予報の確度は高まる.しかし,いつもそうなるとは限らず,津波予報に1メートル,いやそれ以上の誤差があっても仕方ないのである.だから筆者は津波予報を,“あまり大きくない,結構大きい,ものすごく大きい,山のように大きい”,このくらいの感覚でとらえている.勿論,定量的な予報値は尊重しているが.

 『警報といっても当たったことがないから』,と聞き流しては困るのである.また,『3メートルと出たから,3メートルより少し上にいれば大丈夫』と思われても危険である.そこよりは十分に高い所に避難することが必要である.
 
 津波予報は当たらないのか?,そんなことはない.津波予報が抱えうる誤差が結構あることを踏まえて,的確に避難行動をとることが何よりも大事であると考えている.とくに地震の規模が大きな場合は,予報を軽んじないことである.『逃げたのに,ほら何ともなかった』としたら,『それは幸運だった,もし計算通りだったら大事だった.』と考えるべきである.

 大きな災害につながる危険性のある事象に対する予報・予知情報が有効に活用されるためには,社会がそれを適切に受け入れられることが必要である.その素地がないところに,重大な予報・予知情報を流しても,無視されてしまうか,大混乱になってしまうであろう.
学術・技術分野での研究推進もさることながら,広く市民レベルでの防災知識を適切に醸成することも本当に重要である.
 

0 comments

東北地方太平洋沖地震の概要をダイジェストした

■地震の概要[1]:
発生日時                          :3月11日14時46分
モーメントマグニチュード      :9.0(暫定値)
場所および深さ                  :牡鹿半島の東南東約130km付近,深さ約24km
発震機構                          :西北西-東南東方向に圧力軸を持つ逆断層型
断層の大きさ                     :長さ約450km、幅約200km
断層のすべり量                 :最大20~30m程度
主たる破壊の継続時間       :3分程度(大きな破壊は3回)

■特徴等         :
断層の破壊は宮城県沖から始まり,岩手県沖の方向,福島県・茨城県沖の方向に伝播.大きな断層すべりは海溝側(震源断層の浅い側)で発生.
 
 外国の地震観測データを用いた,本震による震源域の破壊過程に関する検討より,3つの巨大な破壊が連続して発生していることが判明.これに基づく解析により,地震の規模はマグニチュード9.0と推定された.このような複雑なかたちで破壊した地震は極めて希であり,1つめの巨大な破壊に相当する波形とは異なる通常見られない特殊な地震波形が認められた(気象庁[1]).

■各地の震度,地震加速度:
 巨大な断層のずれは3分にわたる長い時間にわたって続いたと考えられ,各地で地震の揺れも長時間続いた.本震で震度5強以上を観測した気象庁の観測点において,震度4以上が継続して発現した時間は,130sec~190sec,千葉市・東京都・横浜市でも130secに及ぶものであったという(気象庁). 
国土交通省による港湾地域強震観測[2]による各地の港湾における主な加速度観測記録が公開されている.地表面加速度最大値は,釜石港358gal(E-W),仙台港624gal(N-S),千葉港125gal(N-S),東品川208gal(N-S)などとなっている.震源に近い仙台港と釜石港における地表の加速度観測値を作図して示す.この加速度波形からは,少なくとも2つの主要な地震破壊が連動して起こったことが想起できる.
  
 6cb14e5e.png 88fe6f56.png
釜石港            仙台港
 
■余 震:
 今回の地震は,余震活動が非常に活発であることも特徴.4/6現在での余震は,M7.0以上3回(7.7、7.5、7.4),M6.0以上66回,M5.0以上394回.最大震度4以上を観測した余震は90回に及んだ.その後,4/7にはM7.4,4/12(今日)にもM7.1の大きな余震が発生している[1].

■地殻の変動
 国土地理院は,東日本大震災により宮城県の牡鹿半島において,震源のある東南東方向に約5.3m移動し,約1.2m沈下する観測史上最大の地殻変動があったと発表した(4/19).また,地震後も東北から関東地方の広い範囲で東向きに地殻が変動し続けており,約1週間で岩手県山田町では25cm,千葉県銚子市で17cmの大きな変動が観測された[3].
北米プレート上の水深約1,100~1,700メートルに設置された,震源付近にある3つの海底基準局に関する海上保安庁の調査によると,本震およびその後の余震活動により,震源のほぼ真上に位置する宮城県沖の基準点(宮城沖1)が,地震前の2/21 の観測結果に比べて東南東に約24m移動し,かつ約3m隆起した.震源の約40km西側に位置する基準点(宮城沖2)では,東南東に約15m移動し,約0.6m沈降.福島沖の基準点でも東南東に約5m移動したことが報告されている[4].

dea45031.jpg
海上保安庁による調査結果[4]

■津 波:
 本震に伴って大規模な津波が発生し,東北地方沿岸を中心に北関東および北海道の太平洋沿岸に大きな被害をもたらした.大津波警報は千島列島から北海道太平洋岸および津軽海峡,青森県から静岡県まで続く太平洋岸,紀伊半島および四国の太平洋岸に発令された.これ以外の日本のすべての海岸地域には津波警報または津波注意報が発令された.
 岩手県南部沖に設置されたGPS波浪計が記録した津波波形によると,本震後まもなく引き波が観測され,続いて15時ころから約2mの押し波が現れ,水面はそのまま急激な上昇をみて約7mに達した後,-3m程度まで引くという2段の上昇挙動をみたあと,さらに2mから1m程度の波高の津波が第7波まで,時刻では21時頃までの間に観測されている[1].津波の規模は1960年のチリ地震津波をはるかに超え,各地で甚大な被害をもたらした.
 津波の挙動に関しては,市街に津波が浸入して家屋を破壊していく様子など,多くの画像が記録された.また,津波が沖合から,緩勾配の海底地形の上を海岸に向かって進行する様子が撮影されている.海上保安庁の巡視船は,沖合にて津波を乗り越える様子を撮影している[6].
 この津波発生を受けて,多くの学協会等が津波およびその被害に関する調査を開始している.これらによる速報をもとに,各地の浸水高さをざっと整理(暫定)してみた(http://njpc.building.officelive.com/tsunami.aspx).


[1] 気象庁;気象庁:「平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震」について(第34報)
[2] 国土交通省:http://www.mlit.go.jp/kowan/kyosin/eq.htm
[3] 国土地理院:GPS連続観測から得られた電子基準点の地殻変動,http://www.gsi.go.jp/chibankansi/chikakukansi40005.html
[4] 海上保安庁,『宮城県沖の海底が24メートル動く~東北地方太平洋沖地震に伴う海底の動き~4月6日』
[5]
独立行政法人 港湾空港技術研究所:平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震による津波のGPS波浪計による観測結果について,http://www.pari.go.jp/info/tohoku-eq/20110328pari.html,2011.03.28
[6]
巡視船:http://www.youtube.com/watch?v=4-mkzcxnJS8,(これによると,約3分の時間に3回に渡って波の峰を乗り越えている様子が確認できる.うち2回はかなり大きな波高であることが推測できる.)





0 comments

東北地方太平洋沖地震被災者への支援金

 東北地方太平洋沖地震による被災者の方々への支援のため,国内だけでなく海外からも義援金がさまざまなかたち・組織を通じて寄せられている.この義援金は全額被災者へ支給される.これら義援金についてのコメントを目にした.日本財団会長の笹川氏のブログ(http://blog.canpan.info/sasakawa/archive/2960)によると,以下引用すると,

『多くの国民,企業,外国政府及び市民から集まってくる膨大なお金は,最終的に被災した県が設置する配分委員会に委ねられる.配分委員会は日本赤十字社,マスコミ,被災自治体,専門家等で構成され,「公平・平等」に被災県へ配分金額を決定する.配分金額の決定通知を得た被災県では被災者の程度に応じて「公平・平等」を原則に配分することとなる.』

という.しかし,この手続き・プロセスには相応の時間を要することは明白で,その間にも被災地は多くの支援を必要としていることが,ブログの中で指摘されている.

以前,北海道南西沖地震の災害復旧に従事していた際のことである.このときも全国から多くの義援金が集まったのであるが,その配分方法が決まり,実際に被災者の方々に届くまでには,ずいぶん月日がかかり,『どうなっているのだろうか』と被災者の中から不安が聞こえたことを思い出した.

今回の震災では,町の行政機能がそっくり喪失せざるを得ないところや,町としての空間すら存続できるかどうか分からないなど,地震災害および関連災害(放射性物質汚染など)は,未曾有である.自治体においては,しばらくは目前の対応で手いっぱい,とても義援金配分のすったもんだまで手は回らないだろう.

そこで日本財団は,被災者への支援活動に今,あるいは今後も活動し続けるであろうNPOやボランティアを支援する基金を設立し,基金によってその活動を経済的に支えることで,被災者の方々への支援が安定して展開されるよう活動しているとのことである.それが下記である.

日本財団ROADプロジェクト 『東北地方太平洋沖地震支援基金』
http://blog.canpan.info/nf-project/
http://canpan.info/open/news/0000006465/news_detail.html

うちの家族らは,被災者へ直接届く義援金を選択していたが,自分は,すぐに被災者支援活動につながる,この支援金に協力することにした.どのような団体に,支援金が拠出されるかについては,気になるところである.しかし,財団が責任を持って支援先の団体を選考しているとのことである(http://www.nippon-foundation.or.jp/org/news/2011040103.html).

いずれ増税がありそうだし,結果,災害支援になるのだからあわてて拠出しなくてもいいんだ,とおっとり構えていたのであるが,すぐに被災地支援になるのであれば,拠出する意義は大きいと考えた次第.

0 comments